2024.03.20
【子供の成長と試合】
小美玉道場の少年部では試合の勝ち負けは重要視しない。
もちろん勝負だ、大会に出る以上勝利を目指すのはあたりまえだ。
負けるために出るやつなどいない。
当然、本人たちもそうだが私だって選手の勝ち負けには一喜一憂する。
自分の道場生が負けて嬉しい指導者などいない。
しかし私の考える試合はあくまで自分の今までやってきたことを試す場ということだ。
まずは稽古で各々の欠点が最小限まで修正でき、そして本番で自分の今持っているポテンシャルを組手で稽古通りに表現できるかが大事なポイントとしてとらえている。
まだみな1、2年ぐらいのキャリアだ。
急な成長を望み、激しい稽古を課したからといってそうそう強くなるわけではない。
たまたま入賞できる子もいる。
しかし今の段階では、とてもその子のもってるポテンシャルが発揮しているといった組手とはほぼ遠い。
対戦相手には失礼だが、同じレベルでのせめぎ合いだけにたまたま勝っただけに過ぎない。
どちらが勝ってもおかしくない内容だということだ。
小学生あたりだと成長度合いが試合に顕著に表れる。
体の大きい子は技術やキャリアがなくとも体格やパワーで勝ってしまう。
特に少年部時代はありありのお約束だ。
そうなってくると空手うんぬんではなくなってきてしまう。
いやどの競技にもあることだろう。
正直、低い年齢ほど成長が早いほうが有利です。
私も子供の頃、何度となく苦い経験しました。
成長が早く力や体格でまさる選手は技術をそっちのけで成績を収めても、 そこまでで終わってしまうと考えられる。
また少年部での成績が良すぎると大人になってからの組手にチェンジしずらくなる。
小さかったり痩せていた子供たちが順々に成長期に入り、徐々に追いついてくる。
そうなってくるとフィジカルだけで技術をおざなりにしていた子は、徐々に勝てなくなってくる。
特に子供の頃の組手試合は防具で守られているため、ダメージも最小限で防御もしないで攻撃オンリーだ。
ルールも大人よりは甘めの判定だ。
おそらくだが、強かった頃の記憶がこんなはずじゃないと昔の栄光から脱せないからだ。
中学生あたりになると途端にスピードとパワーの威力が変わる。
中学・高校となると子供感覚の組手から抜け出せない子は、まず勝てないだろう。
そのため成長の遅い本人にとっては思うような成績を収められずツライ時期になるかもしれない。
しかし少年部の頃は、ムリヤリ勝利を目指して負荷をかけるより、その子の成長速度に応じた指導やアドバイスを心掛けたいのが私の思いなのだ。
少年部の頃は負けてもいいのだ。
その子の成長を感じれる試合運びができれば次に必ずつながる。
相手より自分なのだ。
今は成長している段階を楽しんでほしい。
体はいずれ大きくなる。
その時強くなった自分に酔いしれろ!
私の経験と引退後身につけたこと、現在研究中の組手の基本を徹底的に叩き込んであげたい。