2024.01.31
昨年12月26日に行われたスーパーバンタム級世界4団体統一戦のセミファイナル・日本バンタム級タイトル戦に出場し、試合後に右硬膜下血腫で緊急手術した穴口一輝選手が23歳という若さで2月2日に亡くなってしまった。
皮肉にも同日、堤聖也VS穴口一輝戦が年間最高試合賞に選出されていた。
穴口選手が亡くなる前の発表だったそうだ。
亡くなるまで意識不明ままだった。
回復したらいつか二人で話したいと堤選手は語ってた。
穴口選手のことは正直、今回の記事で知った。
あの井上VSタパレス戦の前座だったとは・・・・・・・
動画で試合も見たが、アマチュアの戦績も76戦もしており、プロになっても今回までは負けなしだった。
試合の内容も4度のダウンはあっても、とても劣勢な展開ではなく、ダウンさえなければ判定では有利だったようだ。
さすがアマ上りなので技術も高く、ディフェンスも良く悪い内容では決してなかった。
へたすると、終わった後の両選手の顔を見たら分かると思うが、とても穴口選手が負けた選手には見えない。
良い選手だけあって、亡くなってしまったのがとても残念でならない。
こういう事故があったらから言うわけではないが、やはりうちの道場でも、ていうか私自身が防御を特に大事にしている。
私の組手スタイルもどちらかというと受けが中心となっている。(若い時はそうでもなかったが・・・・・)
そのため基本の受け返しはかなり重要視している。
特に子供たちは攻め一辺倒と単調になりすぎる傾向がある。
受け、防御はなかなか習得するのは難しい。
本当のダメージや痛みが分からないと自分の肉体に過信してしまうからだろう。
まあ痛みにもともと強い奴も中にはいるが。
特に現役の20代から30代は一番体が強くなる時期だ。
若さゆえ防御するより、攻撃に徹していたほうが勝利は近いだろう。
格闘技の試合はKO出来なければ判定決着となる。
大まかな判定基準は相手にダメージを与えたかという点と、そうでなければ攻撃の積極性があったかという点が大きく判定に左右される。
そうなってくると、防御は若さ任せの肉体で相手の攻撃を受け、攻撃に意識をもっていったほうがいいのは明白だ。
ルールや条件でその戦略も大きく変わるだろうが・・・・・・
フルコンはルール上、他の打撃格闘技よりは頭部へのダメージは少ないほうだろう。
その分攻撃を体幹部分で受け止める展開が増えるため心臓など内臓のダメージは多いかと思う。
相手を崩すためには胸へのパンチを打つ技術は必須だ。(実際は別の部位だが)
そのためいくら防御が上手くとも被弾する確率は高くなってくる。
若いうちはいいが、やはり後々後遺症は出てくるだろう。
フルコンタクト空手は直接打撃制であるため、打ち身打撲が日常茶飯事で、心臓にも相当負担をかけている。
大胸筋は大きい筋肉だが、そこは生身の人間、過信しないほうがいいだろう。
だからこそディフェンスを巧みに使って攻撃を返す。
そう要は自分は攻撃をもらわず、相手には当てる。
空手独特の受け返しは大事だと私は思う。
試合という性質上、勝ち負けを是が非でもつけなければならない。
格闘技の試合は攻撃でポイントが優劣をつけるのは仕方ない。
野球やサッカーのように点数がはっきりこうすれば入るというように分かればいい。
しかし格闘技ほど判定が難しい競技もない。
血だらけでも顔が腫れていてもダメージありそうでない人も中にはいる。
KO以外はっきり分からないので、目で見て判断するしかない。
なので審判やレフリーがしっかり訓練されてないと曖昧な部分が露呈してしまう。
どこにでもありうることだが、周りの雰囲気や選手によっては判定が偏ってしまう傾向がある。
まあ人間がやっていれば感情も入ってしまうということだろう。
最近、ある団体はルール改正をし、そこには防御も判定ポイントしてしっかり組み込み、採点基準に入るよう見直されているようだ。
同じフルコン空手でも団体によって判定基準は微妙に変わる。
今の時代、選手ならどこの大会に出ても順応できるような稽古をしなくてはならないだろう。
とにかく空手をやっているのに不健康になってしまったのでは本末転倒だ。
特に少年部は直感的にならず論理的に空手の技術をまだ理解できないまでも、指導員の言うこと聞いてしっかりとした技術を身につけてほしいと願う。
だから小美玉道場は基本にうるさいのだ!
おまえ若いころ基本やってなかっただろという突っ込みはやめていただきたい(笑)
穴口選手のご冥福をお祈り申し上げます・・・・・・・