2024.04.02

【憧れの肉体】

私は若いころ、体が華奢でいつも力負けしていた。

小学生で物心ついた頃から何をやっても争いごとは負けていた。

リレーで先頭走っていてもコーナーで相手にはじき飛ばされたり。

ケンカをしても相手に馬乗りになられて動けなくなり、タコ殴りにされたり。

野球でバッティングをやっても球に負けて、手がしびれてたり。

腕相撲など勝った試しが一度もない。

中学生の時などある女子に「ガリガリで気持ち悪い」とさえ言われたほどだ。

野球をやっていたため、そこまでガリガリだったわけではない。(まあ貧弱は貧弱だったが)

私を毛嫌いしていたのか好みの体ではなかったからなのか分からないが、なぜおまえにそんなこと言われなきゃならんのだとは思った。

今だったらりっぱなセクハラだ。

いつか会ったらガツンと言ってやりたいと思う。

とにかく実に敗北感が満載の時期だった。

まあ一言で言ったらドンくさい奴だった。

だからいつも強くなりたいと思っていた。

そしてゴツイ体を夢見ていた。

小学生の時【リングにかけろ】というボクシング漫画を愛読していた。

これこそ俺の求めている男たちだと。

すると主人公のライバルがこんなトレーニングをしていた。

アポロエクササイザーだ。

宇宙飛行士の筋力維持のためにNASAが開発したというが・・・・・・

みなさんはご存じだろうか?

 

それとパワーリストとパワーアンクル。

これは主人公がパワーアップにと師匠のお姉ちゃんが中学生のお祝いにとプレゼントした。

 

このトレーニングをした二人は将来、リングから会場外まで人を吹っ飛ばしてしまうぐらいのパンチ力、すなわち必殺ブローを身に着けるのだ。

まあほぼこのマンガの出演者はこのスーパーブローを最低でもひとつは持ってないと、まともに取り合ってくれないほどの猛者ぞろいだ。

当時はこのマンガが最高に熱く、弱っぺしの私は心を鷲掴みされたマンガだった。

アポロエクササイザーとパワーリストとパワーアンクル。

これさえあれば、俺は屈強な男になれる。

この三つの神器を手に入れれば、俺は強くなれると信じていた。

しかしこの三つの神器、当時にしてはかなり高価なものだ。

でもなぜか購入していた記憶だけ残っている。

親に買ってもらったわけではないことは確かなのだが。

どうやって私は手に入れたかは不明・・・・・・・

アポロエクササイザー

 

パワーリストとパワーアンクル

 

アポロエクササイザーはなんだか使い方が悪いのか理解できないままお蔵入りしてしまい、何をやっていたのかさっぱりわからなかった(笑)

名前だけみるとカッコイイこのマシーンはバーを引っ張るととロープが引きずり出されてくるだけ。

なんとも拍子抜けした代物だった。

とてもマンガのようなトレーニングは無理じゃないの・・・・・

でもパワーリストとパワーアンクルなら期待がもてる。

ただ手首や足首に巻き込むだけだ。

それにアポロエクササイザーと違い日常生活の中でも使える。

だって付けていればいいんだから。

当時、中学生の私はひっそりと学生服の中に忍ばせ、トレーニングを積んでいた。

しかしマンガと違いもっとサポーターのように気軽にスマートに装着できるものだと思っていたが、実物はかなり違った。

御覧の通りこれがまたゴツイ。

出来れば周りにバレずに、さりげなくつけていたかった。

しかしとても日常で常備つけてるのはかなりの一苦労。

くるぶしに当たって痛いし、ごっつすぎて制服に収まり切れないと、これも断念。

これまた押し入れの奥に眠ったのは言うまでもない。

 

こんな他力本願的なトレーニングばかり夢見た私の10代はさっそうと過ぎ去っていった。

二十歳過ぎたらようやく肉付きはよくなったが、脂肪ももれなくセットで身についた。

空手はたるんだ体に活を入れようと始めたのもきっかけのひとつだ。

30年間、空手を続けたおかげでようやく一般人よりは少し体格が良くなったかな~て感じにはなった。

今後もより強い体を目指して修行中です。

憧れの肉体はいまだ憧れのままだ。

私だけのスーパーブローもまだまだ先だ!

身に着けた証には中学生の時「ガリガリで気持ち悪い」と言い放った女子にギャラクティカ・マグナムを食らわしてやりたい(笑)

どうだこの破壊力。

まともに食らえば死ぬだろうな~

 

小美玉地区道場
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