2022.11.02
【子供を不幸にする競技なんて必要ない】
ちょっと過激にも聞こえるかもしれないが、ある武道家の対談での話だ。
確か今年の春先に柔道で毎年夏に開催していた全国小学生学年別大会を2022年度から廃止と耳にした。
【勝利至上主義】
行き過ぎた勝利至上主義が見直すため、廃止されたようだ。
過度な減量、体罰、行き過ぎる叱咤・・・・・・・
とにかく勝つためには子供の尊厳など無視する大人たち。
そんなとこが大まかな理由だそうだ。
私も10年以上も前になるが、ある少年部大会で目にしたことがあった。
セコンドについていた親が「ぶち殺せ~」とか反則をしているのにもかかわらず「もっと殴ってやれ」とか武道の大会には死後のような言葉が連発されていた。
ある意味、私はなんだこれはと、その会場だけが異様な雰囲気に感じた。
周りを見渡すと恐らくそれが当たり前のようだったみたいだ。
私は小学生の頃、リトルリーグ(硬式野球)をやっていた。
ベンチ入りさえできない補欠はコーチャーボックス付近で1列に中腰になって応援するというのが、当時のリトルリーグの習わしだ。
そしてこんな応援の掛け合いが両チームの補欠同士で繰り広げられる。
「バッタ~ホームランの天才♬~」とリーダーの人が叫ぶと、そのあとに続いて補欠みんなで「天才、天才、大天才~♬~」と叫ぶ。
まだこれは自分のチームを鼓舞するものなのでいいが、相手チームに対しては、
リーダー「ピッチャービビってる」全員「イェイ、イェイ、イェイ」
「ピッチャービビってる♬~」「イェイ、イェイ、イェイ♬~」「ビビってる♬~」「イェイ♬~」「ビビってる♬~」「イェイ♬~」「ピッチャービビってる♬~」「イェイ、イェイ、イェイ♬~」
などと少し人を小馬鹿にしたコールもあった。
まあこのへんもお互いノリ的要素もあった。
オラ!頑張れや~みたいな。
これぐらいは序の口で、まだ許せる範囲だろう。
しかしそこは小学生。
さすがにイケイケの昭和50年代でも誹謗中傷レベルになりすぎて、コーチにゲンコされたのは言うまでもない。
まあこれは大人ではなく子供の話だが。
そんな昭和から流れて、時代は令和。
コンプライアンスが厳しい世の中。
昭和の悪しき風習は色々な部分で、かなり粛清されたのでは。
私たちの50代世代あたりから上は、特に教育や指導などがやりずらくなったのでは。
しかし私も冒頭に述べた言葉には同意します。
大人のエゴで子供に試合をさせたり運営するのは絶対に反対だからです。
ただ試合を否定しているわけではないです。
やはり私も若い頃は試合重視で空手を頑張ってきたので、試合・大会は正直大好きです。
そういう大きな舞台だからこそ経験できるものもあります。
その経験が今の自分の空手指導や人生に大きな影響をもたらしているのが確かだからです。
私は大人が遠慮するから子供もも大人をなめると思います。
だからと言って教育、指導と名ばかりのやりすぎは絶対ダメです。
なので私は子供には特に真剣にぶつかります。
そうでないと子供もそのあたりの大人の行動を察しているのではないかと思います。
私は出来る限り、選択肢がある場合は子供(道場生)自身に決めさせるようにしています。
多少の促したりはありますが、本人の意思が一番大事だと思うからです。
試合はあくまで経験の場。
誰しも空手の世界で名をあげたいわけではない。
でも自分の意志で大会に出るのであれば、それなりの覚悟をもって臨んでほしいという本音もあります。
そしてそれに向かって、ひとつの目標に対して努力する。
うちにいたっても組手は嫌なのかなという子も正直います。
でもカリキュラムに組み込まれている以上、組手はやるしかありませんが。
そこは強度や相手を選択、調整し安全に稽古しています。
【弱気を助け、強気を挫く】それが武道の持つ本来の心構えだと思っています。
とにかく周りの方はどう私を見ているか分かりませんが、私は実直に子供であれぶつかります。
今これが私の持ってる最高の指導だと信じております。