2025.04.27

【数見肇VSフランシスコ・フィリョ】

私がこの二人の戦いを見たのは第6回世界大会(松井派)だ。

ちょうど私が入門した年の秋だった。

総裁が亡くなられての初めての世界大会。

当時、付き合っていた彼女と3日間で行われる大会のチケットを2日間取り、泊りがけで観戦した。

極真に入門して初めての私の憧れの選手、黒澤浩樹は今大会で年齢的にも引退してしまうであろうと思い、生観戦をどうしてもしたかったからだ。

ほぼベスト8は私の予想通り順調な結果だった。(ハハハ、知ったかぶり~)

トーナメントを見ると数見VS八巻の決勝が去年の全日本に続き順当かと・・・・・・・

二人は去年の全日本の優勝、準優勝者だ。

でも黒澤浩樹の優勝にもにわか期待していた。

黒澤選手に優勝して引退してもらいたいと心の奥底で願っていた。

結果は全日本と同じ八巻建志が優勝、数見肇が準優勝。

まあ妥当な結果だ。

私の憧れの黒澤選手は6位入賞と残念な結果に終わってしまった・・・・・・

 

第6回世界大会を振り返ってみると数見選手は準優勝に終わったが、日本の王座を死守した一番の立役者はこの方ではないだろうか。

正直、まだ当時の極真の状況が分かっているようで分っていなかった私は(まあ今でもよく分らんが)外人勢はフィリョぐらいしか脅威に感じていなかった。

それは分裂もあり、第5回で活躍した強豪や、名のある選手が見当たらなかったからだ。

しかし今大会のブラジル勢だけは日本にとって脅威であり、良い選手ばかりだった。(ルシアーノ・バジレも良い選手だったな~)

特に準々決勝でのクラウベには驚愕した。

あの安定した組手をする数見選手がパワーで押されてるのだから。

それもそのはず、193cmの長身からくり出される膝蹴りは脅威でしかなかった。

前の市村選手も膝で苦戦していた。

でも数見選手にとっては190㎝という身長はあまり関係ないようだ。

ただただパワーには圧巻させられている感じだった。

日本人にはない初めて感じたパワーだったのはないか。

なんとか延長の末、逆転勝ちはしたが、開催国や審判によっては本戦でクラウベにもっていかれたのではないかと思うぐらいの内容だった。

 

そして準決勝はそのクラウベよりも強い兄弟子のフィリョ。

いくら数見選手でもこれはマズイのではないか・・・・・・・・

そんな不安さえよぎった。

しかし、試合が始まるとそんな不安は吹っ飛んだ。

クラウベ戦より、場外に追い込まれるシーンは多少はあったが、パワーにも上手く対処しているような感じだった。

クラウベ戦での経験が活きたようだ。

しかしこの人は恐怖心というものはないのか。

二人立て続けにブラジルの怪物に真っ向から挑めるのだから。

横蹴りを中心に組み立ててくるフィリョ。

横蹴りから近寄り、接近してはパワーのある突きの連打。

序盤こそ突きや中段回し蹴りで押される展開はあるが、得意の下段で合わせる数見選手。

フィリョは突きから中段回し蹴りで畳みかける。

数見選手は若干、下がりはするもののパワーを受け止められるのはさすが。

なんつー足腰や!

フィリョは徐々に数見選手の下段が効き始めたのか、表情にあせりが出始めてくる。

技がかなり大振りになる。

今まで圧倒的な強さで勝ち上がってきたフィリョにとって、初めての苦しい戦い。

試合が延長へと後半に進むにつれ、数見選手の下段の有効打が増える中、フィリョの攻撃には有効打はあまり見かけられない。

終盤はかなり掴みも多く数見選手に体をあずけ、もたれかかるような突き蹴りが多くなった。

基本を大事にしているフィリョには珍しい光景だった。

よほど動揺していたのだろう。

2回目の延長でも引き分け、体重判定へ。

両者の体重は10㎏差はないだろう。

結局、試し割判定 で数見選手が2枚差でフィリョに勝利した。

フィリョは準決勝に上がるまで、あれだけ強さを発揮していたのに対して、数見戦ではメンタル的な弱さが出てしまった1戦に私は感じた。

だが4年後の第7回世界大会では、この試し割が逆手に取られるとは、この時点では数見選手本人も夢にも思わなかっただろう。

 

しかし実況の人、あんた【サンフランシスコ・フィリョ】って・・・・・・・

何回言ってんねん(笑)

地名みたいじゃん、アメリカか。

しかもブラジル人だから。

フランシスコ・フィリョね!フランシスコ!